宮本輝著「血脈の火」の風景(その4)

台風被害と城崎への旅

台風15号

事業を順調に立ち上げた熊吾に大きな事件が置きます。小説中には「気象台がC級台風だと予報した台風15号の、想像を絶する被害を知った」と記述。「時速80キロから100キロの速度で、日本列島を縦断する格好で走り抜けた台風は、函館湾内で、千人以上もの乗客を乗せた青函連絡船・洞爺丸を転覆させ、さらに北海道を襲って去ったのだった」とあります。下に引用させていただいたのはその洞爺丸の遭難の写真です。(熊吾が立ち上げた)テントパッチ工業の接着剤の在庫が塩水に浸水して全滅。突然苦境に立たされることになります。

宝塚ルナパーク

台風がまだC級と報道されていたころ伸仁は伯母・タネがその息子・明彦と一緒に宝塚の遊園地に連れて行ってくれる予定でした。当時、宝塚にあった遊園地はルナパークなる名称。その後、昭和30年台に宝塚ファミリーランドと名前を変え関西でも最大規模のテーマパークになります。下に引用させていただいたのはルナパーク当時の写真でしょうか。家族の幸せそうな笑顔が印象的です。

ダットサンを借りて

接着剤の納期問題に悩まされる熊吾は、気分転換を兼ねて浦辺ヨネや麻衣子のいる城崎温泉に出かけます。 今回は息子の伸仁も同行します。運転はヨネに自分の隠し子を預けている丸尾千代麿。友人から借りた新車同然のダットサンを準備していました。下に引用させていただいたのは1953年に発売されたダットサンDB-5型の写真です。 乗り物酔いが激しい伸仁ですが「バスやったら、ときどき頭が痛うなるけど、ダットサンやったら、なんともあらへん」と快適さに満足していました。ここでは、車の窓から景色を眺める伸仁の姿をイメージしてみます。

ちよ熊

浦辺ヨネのお店は「城崎で最も古い旅館の近く」にありました。名前は「ちよ熊」。千代麿と熊吾から名前をもらったお店とのこと。下に引用させていただいたのが城崎でも指折りの老舗旅館・山本屋の写真。創業350年なので熊吾もこの旅館の前を歩いていたと思われます。ここでは、近くにあるヨネのお店で「なんじゃ、この店の名は」と「ちよ熊」なる店名にあきれる熊吾をイメージしてみます。

伸仁は一の湯に

お店で飲み続ける熊吾や千代麿を残して、ヨネは伸仁を「一の湯」に連れていきます。「一の湯」は江戸中期から営業を続ける城崎でも最古の外湯。現在の建物は昭和初期の建築なので熊吾の時代にも今と同じ姿をしていたと思われます。下に引用させていただいたのは現在の「一の湯」の写真。「熊吾は(糖尿病による)喉の渇きを強く感じながら、信仁とヨネが一緒に湯につかっているであろう一の湯を通りすぎた」という風景を想像してみます。

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#城崎温泉一の湯 =3=3=3 洞窟風呂とかあったよ\(*^▽^*)/

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旅行の情報

城崎温泉・山本屋

浦辺ヨネのお店の近くにあったのが城崎温泉一の老舗・山本屋。下でご紹介する「一の湯」のとなりにあります。温泉街の中心部にあり外湯巡りにも最適な立地です。内装はリニューアルされ清潔感があると口コミでも評判。木や土壁などを用いてレトロな雰囲気も残しています。写真のような美味しそうなカニ料理も宿泊の楽しみです。
【住所】豊岡市城崎町湯島643
【電話】0796-32-2114
【アクセス】JR城崎温泉駅から徒歩7分
【参考サイト】https://www.kinosaki.com/

城崎温泉・ 一の湯

伸仁が浦辺ヨネに連れられて入浴する場面で登場します。城崎温泉の中央にあり外湯めぐりでもトップクラスの人気スポットです。館内には洞窟風呂まである豪華な設備。半露天のためゆったりとお湯にひたれます。周辺にはお土産処もたくさんあり散策も楽しいところ。下に引用させていただいたようなライトアップの幻想的な風景もSNS映えします。
【住所】兵庫県豊岡市城崎町湯島415-1
【電話】0796-32-2229
【アクセス】城崎温泉から徒歩で約1分
【参考サイト】https://kinosaki-spa.gr.jp/about/spa/