宮本輝著「花の回廊」の風景(その2)

小料理屋で働く房江の風景

熊吾は伸仁を妹夫婦のアパートに預け、船津橋の電気も水道も止められたビルで再起を目指しています。また、妻・房江は新聞の求人があった大阪難波の小料理屋で働き始めます。

戎橋周辺はにぎやか

房江が働く小料理屋「お染」は道頓堀川沿いにあり、「空襲を受ける前の賑わいを降り戻した道頓堀の色とりどりのネオンや、戎橋を行き来する人々の喧騒」が聞こえていました。

下に引用させていただいたのは、昭和30年の心斎橋周辺の夜景になります。お酒を飲んでいい気分になった人々の声が聞こえてきそうです。ここでは、この周辺のビルのどこかに房江とお染の女主人の姿をイメージしてみます。

伸仁が警察に?

ある日、房江が料理の仕込みをしていると、アパートで老人がなくなり伸仁が警察に連れていかれたとの電話がきます。驚いて警察に行きますが、「老人が死んだということで興奮もしていましたので、あのアパートから少し離した方がええと思うて」連れてきたとのこと。

下に引用させていただいたのは、伸仁が連れていかれたであろう尼崎警察署の写真です。ここでは、部屋に案内された房江がほっとしながら「熱くて濃すぎるまずい茶を、妙に馥郁(ふくいく)とした香りの、ありがたいものに感じながら」飲む姿を置いてみます。

警察で野球のまねをする伸仁

警察署で伸仁は、「ゴムボールを壁に当て、返ってきたボールをつかんで廊下の奥へと投げる格好をしながら、ラジオのプロ野球のアナウンサーの口調を真似」ていました。

下に引用させていただいたのは、昭和32年のオールスターゲームの写真です。阪神の吉田義男選手がMVPを獲得されていますね。走攻守そろった名選手でしたが、1985年の阪神優勝時の監督としてもご記憶されている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、このような選手を思い浮かべながら「セカンドが取って一塁へ。一塁はセーフ。その間に三塁ランナーがホーム・イン」といいながら遊ぶ伸仁の姿をイメージしてみます。

好物のうなぎを食べに

警察を出た房江は、大変な目にあった伸仁とともに好物のうなぎを食べに行きます。下に引用させていただいたのは、昭和30年代の戎橋のうなぎ店の写真です。

この写真の雰囲気をもとに「うな重の上を二人前と、きも焼き日本分」そして「熱燗を一本」を注文する房江の姿をイメージしてみます。

次回はまた、熊吾の方に話を戻します。関西中古車事業連合会を閉めた後に計画をすすめる大規模駐車場の立ち上げはできるのでしょうか?更新が遅くて恐縮ですが、お楽しみいただけるとうれしいです。

旅行の情報

戎橋

房江が働く小料理屋があったのは戎橋周辺で、今でも大阪有数の繁華街です。目の前にはグリコの看板や、かに道楽の動く看板など、写真スポットがたくさんあります。

また、周辺には串カツやタコ焼き、豚まん、ネギ焼きなどの名物グルメが満載なので、こちらもご堪能ください。下には今の戎橋の盛況ぶりが分かる写真を引用させていただきました。

【住所】大阪府大阪市中央区道頓堀1丁目
【アクセス】なんば駅から徒歩約3分
【参考サイト】https://osaka-info.jp/spot/ebisubashisuji-shopping-street/

炭火焼寝床・心斎橋本店

房江が伸仁を連れてどこのうなぎ屋さんに入ったかわかりませんが、こちらは戎橋周辺で現在人気のうなぎ店になります。活締めうなぎの1本焼き(蒲焼き・白焼き・ハーフ&ハーフ)や伸仁の好きな肝焼きのほか、はらみやつら(首の部分)など珍しい部位が食べられるのも魅力です。下には名物の鰻串盛り合わせの写真も引用させていただきました。

【住所】大阪府大阪市中央区東心斎橋2-6-11三津寺リーズビル2F
【アクセス】なんば駅から徒歩8分
【参考サイト】https://sumibiyaki-nedoko.jp/