村上春樹著「羊を巡る冒険」の風景(その8最終回)

鼠の牧場にて

牧場(鼠の別荘)に到着!

管理人に途中まで送ってもらった「僕」たちは白樺の道を歩いて牧場に向かいます。白樺が途切れると「湖のような広い草原」が広がり、「草原を隔てた正面にアメリカの田舎家風の木造の二階建ての家が見えた」とあります。下に引用させていただいたのは、美深町字仁宇布地区にある「ファームイン・トント」という宿泊施設の写真です。「僕」が到着したのは冬季で羊はいませんでしたが、それ以外の時期には羊が草を食べるのどかな風景を楽しめます。

別荘の中は?

別荘の中には古い書籍やレコードなどが保管されていて「1950年代に逆戻りしてしまったような感じ」でした。そのなかから「僕は何冊からの古い映画雑誌を持って居間に戻り、それを開いてみた」とあります。下に引用させていただいたのは、「ジョン・ウェインの初監督映画でジョン・フォードも全面的に応援していると書いてあった」という「アラモ」という映画の記事です。左下の写真(左側)がジョン・ウエイン、小説で「僕」は「ビーバーの帽子はジョン・ウエインにはまるで似合っていなかった」という感想を述べます。

ガレージには車が・・

別荘のガレージには「トヨタの古いランドクルーザー」が残っていました。「彼(鼠)が歩いて山を下りた、それとも山を下りていないか、そのどちらかだったが、どちらも筋がとおっていなかった」とあります。下に引用させていただいたのはトヨタのランドクルーザー40の写真です。1960年から1984年まで製造されたロングセラーで、この小説の時代ともマッチします。ここでは「後部の座席は鼠の車にしては珍しく汚れたまま」というのを確認し、「羊の毛のようにも見え」るごみを掃除する「僕」の姿をイメージしてみます。

羊男登場

一人で「シャーロックホームズの冒険のつづき」を読んでいると、羊男がやってきます。「ドアを開けた僕にもたいして興味がないといった格好で、ドアから二メートルばかり離れたところに立った郵便受けを・・じっと睨んでいた」とあります。下に引用させていただいたのは、ユニクロのTシャツブランド・UTが村上ラジオとコラボした「羊男ピンズ」の写真、佐々木マキさんのイラストがかわいいと評判の商品です。実際の小説中の羊男は「登山靴」をはき、「頭からすっぽりと羊の皮をかぶっていた」、「腕と脚の部分はつぎたされた作り物」、「二本のくるくると巻いた角は本物」などもう少し生活感がある姿でした。

僕は再び太りつつある

別荘の台所には「ひととおり以上の調理器具と調味料が揃っていた」ため、「僕」はさまざまな料理に挑戦します。ある日の「午後にはパンを焼き・・・夕方にパンとサラダとハム・エッグを食べ、食後に桃の缶詰」を食べます。翌日三時には「ヘイゼルナッツ・アイスクリームにコアントロをかけて食べた」とあります。下に引用させていただいたような感じでしょうか?

また、「夕方には骨付きの鶏肉をオーブンで焼き、キャンベルのスープを飲んだ」とあります。下に引用させていただいたのはキャンベルスープと照り焼きチキンの美味しそうなコラボです。別荘の潤沢な食材で料理を満喫する「僕」は「再び太りつつある」ことを実感します。

羊男の再訪

次ぎに羊男が訪問してきたのは雪が降る日でした。もてなすために「台所に行って彼(羊男)のためのブランデーと僕のためのビールを用意し、チーズ・サンドウィッチと一緒に居間にはこんだ」とあります。何度か台所と往復する際に、羊男の姿が鏡には映っていないことを確認します。 下に引用させていただいたのは仁宇布の宿泊施設・ファームイン・トントの一室です。ここでは、このソファに座りながらビール(青い缶のローエンブロウ)を飲み、羊男と会話をする「僕」の姿をイメージしてみます。

鼠との再会は?

羊男が鼠の消息を知っていると確信する 「僕」は、 今日は「ここでずっとで友だちを待つんだ」、「今夜十時にここに来るんだ」などと告げ、鼠の来訪をうながします。羊男とは何者なのか、鼠とは会えたのかなど、完全にネタバレになる内容については、ここでは控えさせていただきます。

下に引用させていただいたのは雪景色のファームイン・トントの写真です。この写真を利用して「僕」が別荘を後した際の、「僕は来た時と同じように草原のまんなかを横切った。・・・足あとひとつない草原は銀色の火口湖のようにみえた」という風景をイメージしてみます。

旅行の情報

ファームイン・トント

このスポットは「僕」が到着した牧場として登場しました。 仁宇布市内にある松山農場が運営する宿泊施設です。春から秋には宿に隣接した牧草地に羊が放牧されます。村上春樹作品の朗読会などが開催されるなど、村上春樹ファンの聖地としても有名です。洋室3室と和室1室があり、夕食には自慢のジンギスカン料理を堪能できます。近くには仁宇布川や上徳士別川などがあり、渓流釣りの拠点にもなっています。
【住所】北海道中川郡美深町字仁宇布660番地
【電話】01656-2-3939
【アクセス】美深駅からバスで20分ほど
【参考サイト】http://matsuyama-farm.com/farm-inn-tonttu/

青い星通信社

美深町の外れに、2019年にできたばかりのホテルです。築60年以上の建物をリノベーションしたもので、石レンガのレトロな外観がおしゃれと評判です。館内には書籍コーナーがあり、もちろん村上春樹作品も多数所蔵、のどかな景色を眺めながら読書を楽しめます。ゲストルームは3室のみという隠れ家的な雰囲気で、ディナータイムには地元のブランド肉や、じゃがいもなど北海道名産の野菜を使った絶品料理をいただけます。
【住所】北海道中川郡美深町紋穂内108番地
【電話】080-9002-7724
【アクセス】美深駅から送迎または紋穂内駅から徒歩8分
【参考サイト】http://aoihoshi.co.jp/