村上春樹著「羊を巡る冒険」の風景(その3)

羊をめぐる冒険のはじまり

休暇を取っていた「僕」は共同経営者からの緊急の電話を受け事務所に向かいます。

僕と共同経営者どっちがまとも?

「僕が事務所に着いた時、彼は既にウイスキーを一杯飲んでいた」との記述があります。彼(共同経営者)は既に初期のアルコール中毒になりかけていました。それでも彼の身なりは「濃いブルーの新しいシャツに黒いネクタイをしめ、髪にはきちんとくしが入っていた」というもの。一方の「僕」はといえば「スヌーピーがサーフボードを抱えた図柄のTシャツに、まっ白になるまで洗った古いリーヴァイスと泥だらけのテニス・シューズをはいていた」とあります。下に引用させていただいたのは「僕」が着ていたものを彷彿とさせるスヌーピーのTシャツです。休暇日とはいえこの姿で会社に行った「僕」がスーツ姿の彼と服装を比べ「誰が見ても彼の方がまともだった」とつぶやく場面をイメージしてみます。

黒服の男

この小説で重要な役割を果たす「黒服の男」が初めて登場するのは「僕」が働く事務所です。その日は共同経営者は外出中で事務所には電話番の女の子が1人いるだけでした。「男は音もなく事務所のドアを開け、音もなく閉め」て入り、「責任者(共同経営者のこと)に取りついでいただきたい」といったとのこと。その姿は「9月の後半にしては異常なほどの外の暑さにももかかわらず、男は実にきちんとした身なりをしていた」とあります。「グレーのスーツからの袖からは白いシャツが正確に1.5センチ分のぞき・・・ネクタイはほんの僅かだけ左右不対象・・・・黒いコードヴァンの靴はピカピカに光っていた」とも。暇を持て余し雑誌を読んでいた事務所の女の子が最初に見たのは下に引用させていただいたようなコードヴァンの男の足許だったかもしれません。

黒服の男の話

30分ほどで(共同経営者が)戻ると聞いた「黒服の男」ははじめからわかっていたように「待つよ」といいます。応接間に通されると「ソファーに腰を下ろし、足を組み、正面の壁の電気時計に目をやったまま静止した」、そして「あとで麦茶を持って行った時も、彼はその姿勢のままぴくりとも動かなかった」とあります。下に引用させていただいたのは応接セットの写真です。奥側に「黒服の男」、手前の壁に電気時計を置いてこの奇妙な場面を想像することにします。

問題の写真は

「黒服の男」の用件は「僕」が製作した「P生命のPR誌の発行を即刻中止していただきたい」とのこと、そしてその担当者(「僕」のこと)と会うことでした。「黒服の男」によると広告に使った「北海道の平凡な風景写真」が問題のようでした。下に引用させていただいたのはこの小説の舞台の一つともされる美深町仁宇布(びふかちょうにうぷ)にある松山農場の写真です。小説にでてくる「雲と山と羊と草原」が写ったこのような風景が「黒服の男」にはなぜ問題だったのでしょうか?

黒服の男からのお迎え

「僕」と会うために「黒服の男」は「本物の運転手」がついた迎えの車を寄こします。「その巨大な車はビルの玄関前の路上に潜水艦みたいに浮かんでいた。つつましい一家ならボンネットの中で暮らせそうなくらい巨大な車だった」とあります。下に引用させていただいたのはトヨタの最高級車「センチュリー」のカタログになります。右下にある後部座席はクッションが効き座りごこちが良さそうです。この写真を見ながら「広々とした後部座席の真ん中にはシックなデザインのプッシュホンが埋め込まれて、その隣には銀星のライターと灰皿とシガレット・ケースが揃いで並んでいた」という車内をイメージしてみます。

車の中で睡眠の続きを・・・

車の中で「何か音楽でもおかけしましょうか?」と質問された「僕」は「なるべく眠そうなのがいいな」と答えます。事務所での睡眠の続きがしたいと考えていたところ「無伴奏チェロ・ソナタが静かに流れだした」とあります。下に引用させていただいたのはバッハの無伴奏チェロ組曲・第1番の動画です。「申し分のない曲で、申し分のない音だった」といって睡眠に入って行く「僕」の姿をイメージしながらこの曲で居眠りしてみてはいかがでしょうか。

この後、ついに「黒服の男」と対面することになりますが、その前に親友・鼠(ねずみ)との物語が入ります。次回もお楽しみに。

旅行などの情報

日本自動車博物館

「僕」を迎えに来た豪勢な車の例としてトヨタ・センチュリーに登場してもらいました。石川県にある「日本自動車博物館」には今年(2020年)6月から佐藤栄作元首相が自費で造った防弾仕様のセンチュリーが展示されています。下に引用させていただいた写真のように周囲から車を眺めることができるので「僕」の気分になって乗り心地を想像してみてはいかがでしょうか。
【住所】石川県小松市二ツ梨町一貫山40
【連絡先】0761-43-4343
【アクセス】北陸道加賀ICから車で約25分
【参考サイト】http://mmj-car.com/

スヌーピーのコラボTシャツ

「僕」が会社で来ていた「スヌーピーがサーフボードを抱えた図柄のTシャツ」の例として登場してもらったTシャツはオンラインでも購入できます。店名はその名も「SNOOPY’S SURF SHOP」、ハワイが本店で沖縄にも支店があります。下にはオンラインショップのURLや沖縄支店の情報も追記しておきます。ちなみにハワイ本店では下に引用させていただいたようにTシャツだけでなく小物やサーフボードなども販売されています。
【住所】沖縄県那覇市松尾2-3-13
【連絡先】098-860-8181
【参考サイト】https://snoopysurf.com/