村上春樹著「羊を巡る冒険」の風景(その5)

黒服の男の話

羊の写真

「黒服の男」から 「羊の写真」を渡されます 。鼠から依頼を受け「僕」が生命保険会社のPR誌に掲載したものです。拡大鏡で詳細に調べても不思議なところは見当たりません。その後「黒服の男」は「(前列の右から)三頭目めの羊をのぞけば、あとは普通のサフォーク種だ。その一頭だけが違う。サフォークよりはずっとずんぐりしているし、毛の色も違う。・・・こんな羊は日本には存在しない」などと種明かしをします。 下に引用させていただいたのはある牧場ののどかな羊たちの写真です。 ここでは写真を拡大鏡で確認する「僕」の姿をイメージしてみます。

先生のこと

「黒服の男」はボスである右翼の大物「先生」のことを語ります。脳に血瘤(けつりゅう)を抱えたまま40年以上も生き続けていることや、血瘤が発生した時期に「先生はいわばべつの人間に生まれ変わった」ことなど。そしてその時「おそらく羊が先生の中に入り込んだんだ」とも推測します。下に引用させていただいたのは「(米軍に)アーミーホスピタルとして接収されていた聖路加病院」の外観です。A級戦犯として拘留された先生がこの病院で詳しい診察を受ける姿をイメージしてみます。

羊が去った

黒服の男は続けます。「羊は先生の中に住みついていたんだ。そこには草原があって、白樺の林があったはずだ」・・・「とても・特殊な・羊なんだ。私はそれ(先生から去った羊)を探し出したいし、それには君の協力がいる」ともいいます。「僕は先生の頭の中の草原を思い浮かべてみた。草は枯れ、羊の逃げ出した後の茫漠とした草原」とあります。 下に引用させていただいたのは冬の牧場の写真です。 「僕」がイメージしたのはこのような景色だったでしょうか。

ホテルのバーで

荒唐無稽な話を聞いた後に「僕」は黒服の男からその羊を探しに行くという使命を与えられます。「家に帰る前にまともな人間が二本足でまともに歩いているまともな世界を見ておいた方が良いような気がした」僕は新宿の西口で車を降ろしてもらいホテルばバーで軽食をとります。下に引用させていただいたのは美味しそうなビールとサンドイッチの写真です。この写真をお借りして「チーズと胡瓜のサンドイッチを注文した。添え物を訊くと、ポテト・チップとピクルスだった。ホテト・チップはやめてピクルスを二倍にしてもらった」という風景を想像してみます。ちなみに小説中のビールはハイネケンでした。

「いわし」を預けて出発

北海道に(先生から去った)羊を探しに出かけることになった僕は飼っていた猫を「黒服の男」に預けることにしました。 空港まで送ってくれた先生付きの運転手が(名前がなかった)飼い猫に「鰯(いわし)」という名前を付けてくれます。下に引用させていただいたのは村上春樹氏の小説「うずまき猫の見つけ方」と並んだかわいい猫の写真です。ここでは運転手が抱こうとすると「猫は怯えて運転手の親指をかみ・・」という微笑ましい風景をイメージしてみます。

次回からは北海道に舞台を移して風景を追ってみます。村上文学ファンの「聖地」などもご紹介していきます。

旅行の情報

トイスラー記念館

「先生」が診察を受けた聖路加病院の宣教師館として昭和8年につくられた建物です。移築はされていますが戦災を逃れたため当時の姿を保っています。山荘のようなおしゃれなつくりで建物の周辺にはこぢんまりとした庭園もあります。
【住所】東京都中央区明石町10
【連絡先】03-3546-5537(タイムドーム明石)
【アクセス】東京メトロ築地駅から徒歩約10分
【参考サイト】https://www.city.chuo.lg.jp/smph/kusei/syokai/tyuobunkazai/seirukakokusaibyouintoisurar.html

マザー牧場

黒服の男が提示した羊の写真は北海道の牧場のものですが、ここでは関東と関西で羊が見られる人気スポットを1つずつご紹介します。マザー牧場は千葉県にある人気レジャースポットでサフォーク種を含む15種もの羊を飼育しています。羊たちや牧羊犬とのショーや子羊とのふれあいなどのイベントがあるのも魅力です。他にもレストランや遊園地、花畑などもあり終日遊べます。
【住所】千葉県富津市田倉940-3
【連絡先】0439-37-3211
【アクセス】JR君津駅南口からバスでマザー牧場まで
【参考サイト】http://www.motherfarm.co.jp/

神戸六甲牧場

神戸六甲牧場でもサフォークの他、コリデールなど8種類ほどの羊を飼育しています。ここでは羊たちが通年放牧されているので気軽にふれあい体験ができます。また、乗馬や子牛のミルクやりなどの体験スポットやチーズフォンデュ料理のあるレストランなどもあります。
【住所】兵庫県芦屋市西山町1(阪急芦屋川駅)
【連絡先】0797-38-2033(芦屋観光協会)
【アクセス】神戸三宮駅から電車で約15分
【参考サイト】https://www.hankyu.co.jp/station/ashiyagawa.html