村上春樹著「羊を巡る冒険」の風景(その7)

鼠の写真の場所へ

羊博士によれば鼠の写真(=牧場)の場所は「十二滝町」という場所でした。札幌からだと「旭川の近くで支線に乗りかえ、三時間ばかり行ったところにふもとの町」があり、「その町から牧場までは車で三時間」 という遠い場所、「僕」と「美しい耳の彼女」は長い旅に出ます。

十二滝町の歴史

電車の中で「僕」は「『十二滝町の歴史』という箱入りの分厚い本」を読みます。本の中には「最初の開拓民が乗り込んできたのは明治十三年の初夏」、「津軽の小作農」たちは「アイヌの青年を道案内に雇い」、「これより先に人は住めない・・・札幌から・・260㎞の地点」に住むことにしたとあります。下に引用させていただいたのは、古い時代のアイヌの方の写真です。ここでは仮に、写真のどこかに道先案内をしてくれた青年がいるとイメージしてみます。

旭川駅・美深駅を中継

「我々は旭川で列車を乗り継ぎ、北に向かって塩狩峠を越え」、「典型的な小規模の地方都市」がある駅(美深駅)に到着します。しばらく乗り換え時間を挟んで、仁宇布駅(にうぷえき・・・現在は廃止)までの電車に乗り込みます。下に引用させていただいたのは美深駅の旧駅舎の写真になります。この周辺を彼女は散歩し「僕」は「待合室に残ってコカ・コーラを飲みながら・・・読みかけた本のページを開いた」という景色をイメージしてみます。

全国で3位の赤字線?

仁宇布駅に到着した2人は「商店街を端まで探し」ますが見つかりません。あきらめて「引き返して、駅員に旅館の場所を訊ね」ます。「死ぬほど退屈していた」駅員は「おそろしく丁寧に旅館の場所を説明してくれ」ました。また、「十年前に比べると、ずいぶん待ちも淋しく」なったこと、「全国で三位の赤字線」であることなどを教えてくれます。下に引用させていただいたのはありし日の仁宇布駅の写真になります。この写真を利用して、駅員に旅館の相談をしている「僕」たちの姿をイメージしてみます。

牧場の管理人の話

「僕」は一人で町役場に行き、写真の牧場について聞き込みをします。牧場の羊を管理をしている男を紹介してもらい、「別荘の持ち主(=鼠)」がそこにいるはずとの情報を得ます。次の日、牧場まで送ってもらうことになるなど順調に話をすすめて旅館にもどります。

「やっとこれでゴールの手前まで来たみたいね」という彼女に対し、「僕」は「だといいけれどね」と答え、「ヒッチコックの映画を観てから、布団にもぐり込」みます。下に引用させていただいたのは、ヒッチコックの映画の一つ「鳥」の予告篇、「意識がたかぶって、どうしても寝付けなかった」とありますが、現実の出来事の興奮状態だけでなく、ホラー映画の影響もあったもしれませんね。

いよいよ牧場へ

次の日「僕」たちは牧場の管理人のジープで、牧場まで向かいます。「ジープは箱型の屋根付きで、払い下げ品らしくボンネットのわきには自衛隊の所属部隊名が薄く残っていた」とあります。下に引用させていただいたのは、自衛隊仕様のジープの写真です。この写真にはかわいいワンちゃんが乗っていますが、運転席には牧場管理人、後ろに僕と彼女が座っている風景をイメージしてみます。

鼠のいると思われる牧場に到着した「僕」はここで、さまざま体験をすることになります。星を負った羊や親友の鼠には出会えるでしょうか?次回もお楽しみに!

旅行の情報

トロッコ王国美深

「僕」たちが最後に乗り継いだ美深駅と仁宇布駅の間にはかつて「美幸線」が走っていましたが、1985年に全線廃線になりました。トロッコ王国美深はその線路を利用して作られたレジャースポットです。旧仁宇布駅舎をモチーフにした「コタンコロカムイ」なる駅舎で受付をし、自分の足で2人から9人乗りのトロッコを運転できます。往復10キロで約40分ほどの所要時間、北海道の大自然を感じられる人気の観光スポットです。
【住所】北海道中川郡美深町仁宇布215番地
【連絡先】01656-2-1065(NPO法人トロッコ王国美深)
【アクセス】美深から車で約30分
【関連サイト】https://www.bifuka-kankou.com/attractions/torokko/

旧国鉄美幸線資料館

JR美深駅の2階にある資料館です。小説では「全国で三位の赤字線」とありますが、実は日本一の赤字ローカル線として有名だったとのことです。館内には美幸線の歴史や電車の付属品、過去に発行された切符などが展示され、昭和の懐かしい雰囲気に浸れます。1階にはおみやげコーナーもあり、電車の待ち時間に立ち寄るのにもおすすめです。
【住所】北海道中川郡美深町開運町
【連絡先】01656-9-2470(美深町観光協会)
【アクセス】美深駅直結
【関連サイト】https://www.bifuka-kankou.com/