村上春樹著「風の歌を聴け」の風景(その2)

「小指のない女の子」との出会い

ある朝目覚めると知らない女が隣で裸で寝ていることに気付く「ぼく」。前日、ジェイズバーで酒を飲みすぎてトイレに倒れていた女性(小指のない女の子)を車で送りそのまま寝てしまったことを思い出します。「ぼく」はそのことを彼女に説明しますが信じてもらえず「意識を失なった女の子と寝るような奴は最低」といわれます。「ぼく」は彼女を仕事場まで送りますが彼女は礼も言わずに千円札をバックミラーの後ろにねじ込んで去ります。下の写真は映画版「風の歌を聴け」の一場面。ちなみに女性の役は真行寺君枝さん、「ぼく」は小林薫さんが演じました。1980年代の三ノ宮駅付近で撮影したそうです。千円札をねじこんだ後の場面でしょうか?

再びジェイズバーの風景

「ぼく」は相変わらずジェイズバーに通う日々。隣ではフランス水兵が3人と連れの女性2人が飲んでいます。鼠が来ていないのを確認して1人カウンターに座ります。女にあぶれたフランス水兵がやってきてなぜジュークボックスに「ジョニー・アリディー」のレコードがないのか?と聞きます。「レコード」にしても「ジュークボックス」 にしても現在のバーやカフェではあまりみかけない品々。下は大阪の万博公園内の博物館にあるジュークボックスの写真です。ボタンを押すとレコード(やCDなど)が自動でセットされ演奏が始まる仕組みです。

下の写真は「ジョニー・アリディー」のレコードのカバー。フランスナンバーワンのロックシンガーとして知られていましたがこの時点ではまだ日本での知名度は低かったと思われます。

家に帰る途中、お店で隣り合わせた年上の女性が「学生だった60年ごろはいい時代だった」と言っていたのを思い出します。昔どこかで聞いた「ミッキーマウスマーチ(下に動画を引用させていただきました)」の口笛を吹く「ぼく」。子供のころの良い思い出がよみがえったのでしょうか?

テレフォンリクエスト

ラジオを付けると「ポップス・テレフォン・リクエスト」なる番組をやっています。メールの普及で最近ではあまりなくなった「電リク」番組。ここでは10台の電話でオペレーターが待機する様子が描かれています。1曲目のリクエストはブルック・ベントンの「レイニーナイト・インジョージア」。下のような渋い曲です。

テレフォンリクエストから電話が!

「ぼく」が電話にでると、そのラジオ局からの電話でした。昔、ビーチボーイズの「カリフォルニアガールズ」を借りた女の子からのリクエストがあったとのこと。修学旅行の時にコンタクトレンズを探してあげたお礼に借りたことを思い出します。下がラジオから流れてきた楽曲です。「イースト・コーストの娘はイカしてる。・・(中略)・・・・素敵な女の子がみんな、カリフォルニアガールならね」

レコード店へ

借りた「カリフォルニアガールズ」の入ったビーチボーイズのレコードをなくしてしまった「ぼく」は高校の同級生に返却するレコードを買いに行きます。レコード店には偶然にも「小指のない女の子」が働いていました。ビーチボーイズのほかベートーヴェンやマイルス・デイビスのレコードも購入します。ベートーヴェンは鼠へのプレゼント用。マイルス・デイビスは自分用だったと思われます。レコードが無事に返却できたかなどは小説にてお楽しみください。

数日後に「小指のない女の子」から電話がきてジェイズバーで会うことになります。「いろいろと嫌な目にあった」という彼女。この後は次回とさせていただきます。

旅行の情報

神戸高校

「ぼく」はビーチボーイズのレコードを返却するために母校を訪問し彼女の電話番号などを探します。下はその舞台と思われる神戸高校。村上春樹氏も高校生活を送った場所です。玄関周辺は昭和13年の創建時の雰囲気をそのまま残しています。
[住所]神戸市灘区城の下通1丁目5番1号
[電話番号] 078-861-0434
[アクセス]阪急王子公園駅から徒歩約20分
[公式サイト]http://www.hyogo-c.ed.jp/~kobe-hs/