村上春樹著「ダンスダンスダンス」の風景(その1)

「ダンスダンスダンス」は村上春樹氏の羊シリーズの完結編とされています。「羊をめぐる冒険」から4年半たちますが、主人公の「僕」は親友の「鼠」や「美しい耳の女の子(キキ)」などが去った喪失感から立ち直れずにいます。「羊をめぐる冒険」の主要な舞台となった、札幌の「いるかホテル」に戻り、新しい人生を始めようと決意します。

冒険の始まり

「月に戻りなさい、君」

「羊をめぐる冒険」では妻と分かれるところから物語が始まりますが、「ダンスダンスダンス」の冒頭にも電話局に勤める女性との別れの場面が描かれています。理由は「一緒にいるとすうっと空気が薄くなってくるような感じがするのよ。まるで月にいるみたいに」とのこと。

ある日、「僕」の家には下に引用させていただいたような「宇宙飛行士が宇宙服を着て月面を歩いている写真」の絵はがきが届きます。裏面には「もう私たちは合わない方がいいだろうと思います。・・・・私はたぶん近いうちに地球人と結婚することになると思うから」と書かれていました。

回想「ジェイズ・バー」

再び一人になった「僕」は過去の出来事を思い出します。下には村上春樹氏のデビュー作で、映画にもなった「風の歌を聴け」のロケ地・ハーフタイムの写真を引用させていただきました。

「風の歌を聴け」に登場する「ジェイズ・バー」のモデルとしても有名で、村上春樹氏のファンも多くおとずれます。ここでは親友の鼠と二人でピーナッツを食べながら、まったりとビールを飲んでいる姿をイメージしてみましょう。

回想「夕暮れのロストボール拾い」

「風の歌を聴け」に続く「1973のピンボール」では双子の女の子と暮らすという設定でした。ゴルフ場の脇に住んでいた「僕」はよく、「金網を乗り越えてゴルフ場の中に入り、あてもなく散歩し、ロスト・ボールを拾った」とあります。

「ダンスダンスダンス」でも、電話局に勤める女の子が去った後、当時のことを思い出す場面があります。下に引用させていただいたのは、きれいなゴルフ場の夕暮れの景色です。こちらを双子と「僕」がのんびりと散歩する姿をイメージしてみます。

函館から札幌へ

「僕」は「PR誌や企業パンフレットの穴埋め記事」を請け負っていて、この仕事のことを「文化的雪かき」と呼んでいます。「いるかホテル」に戻って再始動することに決めた「僕」は、函館でのグルメ記事の仕事の後、1か月の休暇をとり、札幌に行くことに決めます。

「僕」とカメラマンの2人は「雪の降り積もった函館の食べ物屋を片っ端からまわっていった」とあります。「ダンスダンスダンス」の舞台は1980年代で、まだ「食べログ」のような情報サイトはありませんでした。美味しい店を探すには「調査をしてくれる組織」に依頼し、「大型のコンピューターを使って情報の迷宮の中から効果的に必要な物をかきあつめてくる」ことが必要でした。

以下に引用させていただいたのは、函館の観光スポット周辺の雪景色です。ここでは、お店ごとに店主から丁寧に話を聞き、足早に雪道を歩く2人の姿をイメージしてみましょう。

旅行の情報

函館朝市

「僕」は函館グルメの取材で30軒以上のお店をめぐります。函館駅からすぐの場所にある朝市にも立ち寄ったのではないでしょうか。特にどんぶり横丁市場は人気のエリアで、海鮮丼や寿司店、ラーメン店などがが15店舗以上も軒を連ねています。

下に引用させていただいたのは、昭和30年の「山三道下商店」の海鮮丼の写真です。お店を選定するために「ほんの少し食べてあとはあっさり残す」という方針で食べ歩きをしました。こちらの写真に味を確かめながらじっくりと食べる、僕とカメラマンの姿を置いてみましょう。

【住所】 函館市若松町9-19
【アクセス】JR函館駅から徒歩約1分
【関連サイト】http://www.hakodate-asaichi.com/

大沼公園

3日で取材や執筆が完了したため、予備日の4日目はカメラマンとともにゆっくりと過ごすことになりました。彼らはレンタカーを利用して「1日中クロスカントリー・スキーをした」とあります。

場所についての記述はありませんが、函館市街地から車で30分ほどの大沼公園では、夏場の散策ルートをクロスカントリー場として開放していたとのこと。ちなみに大沼公園は、初夏の新緑や秋の紅葉でも人気の高いスポットです。ここでは、以下に引用させていただような広大なエリアで、駒ヶ岳の絶景を見ながらスキーに興じる2人の姿を想像してみましょう。

【住所】 北海道亀田郡七飯町大沼
【アクセス】JR函館駅から車で約40分
【関連サイト】http://onumakouen.com/