井上靖 著「しろばんば」の風景(その1)
はじめに
井上靖氏の自伝的小説で主人公の「洪作(こうさく)少年」の小学校時代を描いたものです。何回かに渡ってしろばんばの世界をインスタグラムなどSNSの力をお借りして可視化していきたいと思います。
現在でも「しろばんば」の時代や生活を偲べる観光スポットもたくさん残っていますので、各スポットの情報を記事の最後に掲載します。「しろばんば」を巡る旅のご参考にしてみてください。また、ネタバレはなるべく避けるようにしますので気になった方は原作をお楽しみください。
時代や登場人物
時代は大正時代。洪作少年は「おぬい婆さん」なる曽祖父の妾(めかけ)と一緒に暮らしていました。下の写真は井上氏の伊豆の旧宅。現在は道の駅「天城湯ヶ島」の敷地内に移築されています。はじめに登場人物を数名ご紹介しておきます。
洪作・・・井上靖氏の少年時代の分身。この物語の主人公。
おぬい婆さん・・曽祖父の妾(めかけ)。洪作を5、6歳から育てる
捷作(しょうさく)・・洪作の父。豊橋で軍医をしている
七重(ななえ)・・洪作の母。洪作の妹とともに豊橋に住む
石守森之進・・・捷作の兄。洪作の叔父にあたる。洪作の小学校の校長を務める。
他にも魅力的な人物が多数登場しますが順次ご紹介していきます。
しろばんばとは
本のタイトルになっている「しろばんば」は地方によっては雪虫や綿虫などと呼ばれるアブラムシの一種。下に引用させていただいた写真のような姿をしていて、初冬になると現われ夕暮れになると青味を帯びるそうです。
この虫がたくさん飛び交う時間になると家々から子供たちの帰宅を促す「ごはんだよ!」という呼び声が聞こえ、子供たちは遊びを止めて家路につきます。
洪作の家
洪作(井上靖氏)が育った土蔵は今は残っていません。ですが、その場所には「しろばんばの文学碑」が立ち、一帯は公園として整備されています。建物は立っていませんが、周辺からは今でも富士山を見ることが可能です。散策しながら、洪作が「形のいい小さい富士」と表現した美しい姿を眺めてみましょう。
洪作の祖父の家
土蔵の近くにある祖父・文太や祖母・たねの住む本家「上の家」は洪作がひんぱんに立ち寄った場所です。土蔵はなくなってしまいましたが、こちらは今でも残っています。2021年にはクラウドファンディングなど改修が行われ、下に引用させていただいたような姿に戻りました。土日を中心に一般公開も行われています。
ここでは、家の中で、洪作が祖父に怒られたり、叔母や妹たちと遊んだりしているシーンをイメージしてみましょう。
洪作たちが通ったお風呂
湯ヶ島の子供たちは夕方になると毎日のように「西平の湯」に通います。現在は「湯ヶ島温泉・河鹿の湯」という立派な名称になっていて、昭和レトロな雰囲気のある日帰りスポットとして人気ですが、洪作のころは男女の区別のない野趣あふれる温泉でした。
ここでは、温泉をプールがわりにして遊んでいる洪作たちの姿を想像してみましょう。ちなみに、大人たちはうるさい子供を追い出した後にゆっくりと入浴していたようです。
旅行の情報
昭和の森会館
以下ではこちらでご紹介した観光地の公式ホームページなどをリンクし概要もご紹介します。
一つ目は道の駅・天城越えです。敷地内の「昭和の森会館」には井上靖旧邸以外にもわさび田やもみじ林などがありゆっくりと散策を楽しむことができます。下に引用させていただいた写真のように、秋は紅葉鑑賞にもおすすめです。
[住所]静岡県伊豆市湯ヶ島892-6
[電話番号]0558-85-1110(昭和の森会館)
[アクセス]東海バス・昭和の森会館で下車すぐ
[参考サイト]http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2365
上の家
井上靖氏の親類が住んでいた上の家は、2021年に修復され洪作少年のころの姿に戻っています。土日を中心に内部公開も行われているので、参考サイトなどでご確認ください。
[住所]静岡県伊豆市湯ケ島189
[電話番号]0558-85-1056(伊豆市観光協会天城支部)
[アクセス]新東海バス・湯ヶ島バス停から徒歩約2分
[参考サイト]https://www.instagram.com/izuyugashima.kankou/
河鹿の湯
最後に河鹿の湯をご紹介します。カエルの口からお湯が出ているかわいらしさも人気。弱アルカリのやさしいお湯をご堪能ください。
[住所]静岡県伊豆市湯ヶ島1650-3
[電話番号]0558-85-1056(伊豆市観光協会天城支部)
[アクセス]修善寺駅から東海バスで30分。湯ヶ島温泉口から徒歩約5分
[参考サイト]http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2505
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